「幸せに働くって?」読者のリアルな悩みに答えますvol.1 編集者編

20代から30代の働く女性は仕事やキャリア、そして恋愛、今後の人生プランなどいろいろと考えることも多いハズ。そんな悩みを抱えるとらばーゆ読者にキャリアカウンセラーの水野順子さんがアドバイス。リアルなお悩み相談に解決の糸口を見つけます。

【今回の相談者】

井上聡美さん（34歳）

大学卒業後、出版社に就職。男性ファッション誌の編集者として5年勤め、昔から興味のあった旅雑誌の出版社に転職。しかし、2年後に廃刊となり同じ出版社の生活情報誌に異動。4年勤めるが、昨年、書籍を制作する出版社に転職した。未婚。彼氏あり。

キャリアアップ＆リスク回避の転職だったはずが…

水野さん：大学卒業からずっと出版畑で、その間、転職を2回されたんですね。

井上さん：新卒で入った出版社と、20代後半で転職した会社は中堅の出版社です。昨年、入社したところが規模としては一番小さいですね。

水野さん：なぜ、30代に入って規模の小さいところに？

井上さん：それまではずっと雑誌の編集をしていましたが、出版不況ですから、自分が関わっている雑誌もいつ廃刊や休刊になるかわからない。ならば、書籍のほうがまだ息が長く続くかなって。それに、雑誌・書籍、両方の経験があると今後にも活きるかなと思ったんです…けどね。

水野さん：規模は小さくとも、リスク回避とキャリアアップのための転職なんですね。でも、顔が不満そうに見えますが…。

井上さん：はい。今、転職して８カ月ぐらいですが、書籍はとにかくやることが多くて1冊に関わる時間も長い。雑誌の場合、1～２カ月で自分が担当した企画が終わりますが、今は1冊が半年～1年。それを3～4冊同時進行で動かしますからずっと忙しい状態が続いていて。

水野さん：書籍に転職しようと思ったときに、やりたかったことは今できていますか？

井上さん：やりたい企画はあるんですけど、まだできていません。今は、上司から言われたものをただやるだけですね。

水野さん：やりたいことはできないし、振られた仕事はあまり面白くなく、おまけに忙しいし。

井上さん：その通り！ だから、どんどん疲弊してきてしまったんです。

30代半ばで資格ナシの異業種転職、強みになるものは

井上さん：別業界への転職も考えたんですが、編集なんてつぶしがきかない仕事だし、ほかに何か資格を持っているわけでもない。やはり30代半ばで資格がないと別業種に転職は厳しいでしょうか？

水野さん：転職したい業種が明確にありますか？　

井上さん：いや…それが別になくて…。

水野さん：井上さんは編集業を12年続けていますから、立派な実務経験として生きてきます。30代半ばの人材には資格よりも実務経験を重視する企業も多いですよ。編集者は人をまとめたり進行管理を行うディレクターのような役割ですよね。そのスキルを買われて、企業の広報や宣伝会社などでは井上さんを欲しいと思ってくれる可能性があります。確かに、資格を有するような別の業種に行くのは厳しいかもしれませんが、今までの実務経験を活かせる別業種であれば転職は問題ないでしょう。ただ、井上さんのお話を聞いていると、編集業が嫌いなわけではなく、転職して新しいことで疲労しているように思われます。

井上さん：まさに、そうですね。

水野さん：そういう時期に転職をすると大変に危ない。転職して半年ぐらいは誰しも疲労する時期です。そんなときに「お疲れ転職」をすると、今の状況を抜け出したい為だけに、ほかの仕事が良く見えてしまい、冷静な判断ができない可能性が高い。せめて、1年はその会社で様子を見てほしいです。特に女性は気候にも左右されやすいので、梅雨や年末のせわしない時期に「環境を変えたい！」と突発的に思ってしまうことは多いので。

井上さん：わかります！ 今、ちょうど梅雨時期ですから、なんだかイライラするし体調も悪くて。

水野さん：そういう時期に転職するのはやめましょう。井上さんの場合は、まず1年、今の職場で様子を見て、自分がやりたい企画が本当にできるのかを見極めてください。もし、できないと判断したのであれば、動いてもいいと思いますよ。

井上さん：とりあえず、今の職場で春夏秋冬を見届けてから、考えようと思います！

■プロフィール
水野順子
株式会社キャリアコレクション代表取締役。キャリアカウンセラー、ビジネスメンタルトレーナー。女性とキャリア研究所主宰。女性のライフプランとキャリア支援を得意とし、これまで2万人以上、6万人以上の講演・研修を行っている。著書に『責めない しがみつかない 投げ出さない』。

オフィシャルサイト　http://www.mizunojunko.com