U29(ユニーク) 女子プロジェクト

質の良い睡眠をゲット! 快眠のためのハウツー

快眠を制する者は、プライベートや仕事をも制する!

夜、布団に入ってもなかなか寝付けない。逆に、昼間仕事をしている最中に眠くなってしまい、会議中もウトウト……など、「眠り」の悩みを感じている方は多いのではないでしょうか。さらに、暖かくなってくるこの季節は、何をしていてもやたらと眠くなりますよね。そんなボーっとした自分とはサヨナラしたい!

そこで快眠セラピスト・睡眠環境プランナーの三橋美穂さんに、「こんな時はどうしたらいいの?」という、睡眠にまつわる素朴な質問に答えていただきました。

働くにしても遊ぶにしても、睡眠は大切。質の良い睡眠がしっかりと取れれば、頭がクリアになって仕事もはかどるはず! オンオフをきっちり分けられて、プライベートも充実できること間違いなしです。

 

「質の良い睡眠」とはどんな睡眠?

良質な睡眠を取って、いつもスッキリしていたい! という願いを叶えるためにも、眠りの仕組みについて、軽くふれておきましょう。

新陳代謝を高め、疲労回復を促す働きを持つ、成長ホルモン。この成長ホルモンが分泌されるのは、最もぐっすり眠っている状態=脳を深く休めている状態(徐波睡眠)のとき。成長ホルモンが分泌されると新陳代謝が高まって新しい細胞が作られるので、美肌に睡眠が大切と言われるのはそれゆえです。

成長ホルモンは子どもだけでなく大人にとっても大切なもの。ましてや子どもと違って大人になると分泌量が減るので、だからこそ深い睡眠をしっかりと取ることが重要です。さらに、分泌された成長ホルモンが体内を巡る時間も必要なので、睡眠時間の長さも大事になってきます。

また、眠りが浅く夢を見ている状態(レム睡眠)のときには、記憶が整理されると言われています。この状態の睡眠は眠りの後半に増えるのですが、これが足りないと脳の記憶が整理されずゴチャゴチャのままになるので、必要なときに必要な情報を取り出すことが難しくなってしまいます。

よって、長さと深さのバランスが上手く取れている状態が、「質の良い睡眠」と言えます。
長すぎず短すぎない適度な睡眠時間を取ることが重要。長く寝すぎると全体的に眠りが浅くなってしまい、成長ホルモンの分泌も少なくなるので、疲れが取れにくくなってしまいます。

20代なら7~8時間、30代なら7時間が長さの目安。何時間が適しているかは個人差もあるので、自分でいろいろ試して探ってみると良いかもしれません。

 

寝付けないなら、就寝環境、そして就寝前の心を整える

いざ寝ようとすると、なかなか寝付けなくて悩んでいる人の中には、「夕食後にテレビを見ながらうたた寝してしまう」という人もいるはず。これをしてしまうと、よほどの睡眠不足でない限り、布団に入っても寝付けなくなってしまいます。就寝時間から逆算して8時間は、どんなに眠くてもガマンしましょう。ここでしっかり起きておくことが大事です。

気持ちよく眠れる環境を作るのも手っ取り早い方法。まず優先度が高く、最も効果を感じやすいのが枕です。
本来体に合っている枕というのは、思っている以上にかなり低いもの。枕のアドバイザーがいる専門店で買うのがおすすめです。

その際のチェックポイントとしては、①仰向けで楽に呼吸ができ、首にシワが寄らないかどうか ②横向きでも肩の圧迫感がないかどうか ③寝返りしやすいかどうか ④体の力が抜けて気持ちいいかどうか の4つです。

また姿勢の悪い人は寝る前にほんの少しのストレッチで姿勢を矯正するだけで、合う枕が違ってきます。なるべく矯正した状態でピタリとくるものを選び、毎日睡眠前にストレッチをするよう心がけましょう。

枕を最適なものに替えたら、次はパジャマです。
最近はスウェットのような部屋着で寝ている人が多いようですが、睡眠においてはやはり、圧迫感がなくリラックスした着心地のパジャマに勝るものなし。

布団との摩擦が大きいスウェットの場合、寝返りの際に掛布団まで一緒に動いてしまい、実は余分な力が使われることに。パジャマなら体だけが掛布団の中でスルッと動くので余計な体力を使うことがなく、朝起きた時に体が軽く感じられるはずです。

新年度に入っての異動や業務内容の変更など、環境の変化でなかなか眠れなくなるという人もいますよね。緊張が強くて寝付けない場合、やっと眠れても浅い睡眠になってしまいます。そんな場合はゆっくり湯船に浸かって、布団に入ったら4・7・8呼吸法をしてみましょう。

これは、息を4秒吸って7秒止め、8秒かけてゆっくり吐くという深呼吸法。秒数はあくまで目安で、呼吸を止めることがポイントです。その後で吐くと、体が緩みやすくなるのがわかります。この深呼吸を10回も繰り返せば、きっと誰でもコロッと寝られるはず!

不眠に悩まされている人は、寝よう寝ようと思うことがストレスになっている可能性が。
布団が眠れない恐怖の場所として脳にインプットされているので、30分経っても眠れなかったら、一度布団から出て本などを読んでみましょう。

三橋さんのおすすめは、『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』。スウェーデンの行動科学者カール=ヨハン・エリーンによって作られた絵本ですが、子どもだけでなく大人にも最適です。眠るという行動を引き起こすためのメソッドが物語の中に自然に取り入れられていて、読むうちに眠りに引き込まれていきます。特に、α波に働きかけるような声と間で、眠りに誘ってくれる朗読CDは、アプリ版も出ているので要チェックです。

 

眠くて眠くて、こんなとき、どうすれば良い? 睡眠不足のお悩み解決!

平日は仕事に飲み会、休日は1日フルに遊ぶなど、忙しくてなかなか思うように睡眠が取れない人は多いはず。仕事中につい、ウトウト……なんてことも。そんな「眠くてどうしようもない!」が続いてしまう人の、小さな疑問を解決します。

Q.通勤時間の仮眠はダメ?

A.行きの電車・バスでならOK!

仮眠のポイントは、4段階まであるノンレム睡眠のうち、2段階までの浅い状態で起きること。3~4段階までいってしまうと、眠りが深すぎて余計に頭がボーッとしてしまいます。

電車やバスの場合は座っていてあまり深くは眠れないので、基本的にスッキリ起きられるはず。ただし、先にも述べたように就寝時間前8時間は寝ないほうが良いので、仕事帰りなどの車内では寝るのをガマンしたほうが良いでしょう。

Q.仕事中の眠気が止まらない! どうすれば良い?

A.あらゆる手段で刺激を与えよう

眠いけれど仮眠を取ることができず、ガマンしないとならない場合に有効な方法もいくつか紹介します。

おすすめは、「耳を引っ張る」。両手で耳の上部を上に引っ張ってパチンと離す。次は耳の真ん中を横に引っ張ってパチン。耳たぶを下に引っ張ってパチン。これで視界までスッキリします。

太陽の光も眠気覚ましには最適。実は、太陽光には、寝る前は避けるべきとされているブルーライトが含まれているからです。外に出れば新鮮な空気も吸えて、気持ち的にも切り替えられ、一石二鳥です。

さらに、よく言われていますが、「ガムを噛む」「首を冷やす」なども有効です。

Q.睡眠不足を解消するために、休日たっぷり寝るのは避けるべき?

A.事前の寝溜めは無理でも、負債返済は可能

本来U29女子世代の場合は、7時間の睡眠が必要。それなのに平日6時間しか眠れなかった場合、その5日間で5時間の睡眠負債をためていることになります。この場合、休日に長めの睡眠を取り、一週間単位でこまめに返していくことが大切です。その際は睡眠リズムを大きく乱さないよう、早寝遅起きで睡眠時間を延ばすのがおすすめ。

休日、いつもより2時間以上多く寝ても疲れが取れないようであれば、それは睡眠負債がたまりすぎている証拠。平日の睡眠時間は最低6時間以上確保しながら、本来はそれでも少し足りないので、行きの通勤時間に仮眠を取ったり昼休みに目を閉じたりして、睡眠負債を補うようにしましょう。

Q.目覚ましが鳴る前に目が覚めたら、もったいない?

A.目覚めたときの体の調子で判断しよう

うっかり必要以上に早く目覚めてしまった時は、意外と疲れが取れているなと感じるようならそのまま起きればいいし、足りないと思えば寝てOK。規則正しい睡眠生活は理想的ですが、なかなか毎日そううまくはいかないもの。あまり神経質にならずに、臨機応変にゆったり構えることも大事です。

 

良質な睡眠とは、長さと深さのバランスが良い睡眠のこと。それをふまえると、本来は24時までに寝るのが理想ですが、今はいろんな働き方があるので、とらわれすぎる必要はありません。

自分の生活にあった時間帯で大丈夫。なるべく同じ時間に寝て起きるようにするなど、リズムを安定させられるとベストです。できる範囲で柔軟に対処して、自分なりの「良い睡眠」の取り方を見つけてみましょう。


(取材協力・監修)
快眠セラピスト・睡眠環境プランナー 三橋美穂さん
寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。 わかりやすく実践的なメソッドがテレビや雑誌などで支持を集め、 睡眠のスペシャリストとして多方面で活躍。 全国での講演活動や執筆などのほか、 寝具や快眠グッズのプロデュース、 ホテルの客室コーディネートなども手がける。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる睡眠メソッド100』(かんき出版)ほか。またシリーズ100万部越えのベストセラー『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)を監修。
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