外に目を向けると、良い転職先との出会いにつながる

2016年03月22日

「自分を変えたい」と思ったとき、みなさんはどんな行動を起こしますか?
引っ越してみる、いつもとは違う友だちに会ってみる、職場を変えてみるのも一つの方法かもしれません。でも、転職にはなかなか勇気がいりますよね。
そこで、さまざまな理由で過去に転職をした先輩女性に、一体なにを変えたかったのか、そして転職により、なにが変わったのかを伺います。みなさんの迷いを解決するヒントが見つかるかもしれません。

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大学卒業後、就職した出版社で2年間広告営業職として働いていた福田さん。もともと編集職希望だったこともあり、2年目の冬に編集職への異動を願い出ますが希望は通らず、転職することに。

その後、数カ月の転職活動の末、念願の編集職として採用されました。現在も転職先の出版社に勤めており、2年ほど前からは担当してきた美容系雑誌の副編集長に抜擢され、活躍の場をますます広げています。

同じ出版業界とはいえ、営業職から編集職という全くの別ジャンルに転職し、「自分に合った職場を見つけることができた」と話す福田さんに、その成功の秘訣を聞いてみました。

【福田さんから学ぶ成功の秘訣】

・面接では無理に取り繕わず、飾らない自分を見てもらう意識をすること
・自分の気持ちに素直になって直感を信じること
・外に目を向けて、興味のあることには「まず挑戦してみる」こと

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「編集になれないなら辞める」という選択は自然な流れだった

福田真木子さん(35歳)出版社 編集職 美容系雑誌副編集長

福田真木子さん(35歳)出版社 編集職 美容系雑誌副編集長

–出版社に入社したきっかけを教えてください。

もともと“人”への興味が強かったので、自分が素敵だと思う人や素敵なモノを生み出す人たちの力を一冊にまとめて、魅力を伝えられる「雑誌」という媒体に興味があったんです。ただ、就職希望先を出版社に絞ってしまったこともあり、なかなか就職先が決まらず、大学卒業後2カ月間フリーターをしていました。そんな中、広告営業職を募集している出版社があることを知り、「最初は営業職でものちのち本が作れるのであれば出版社に入っておこう」というくらいの気持ちで、6月に入社しました(グラフa)

–転職しようと思ったきっかけは何だったのでしょう?

入社2年目の冬に編集職への異動希望を出したのですが、その会社では広告営業職から編集職に異動した前例がなかったこともあって、希望は通りませんでした。その会社が出版していた雑誌はいわゆる“ギャル系”と呼ばれる女性向けのもの。私の趣味嗜好とあまりにもかけ離れていたので、上司に「できないでしょ?」と言われて、自分でも「たしかにそうだな」って思っちゃったんです(笑)(グラフb)

それに当初から営業職を希望していた訳ではないこともあり、「25歳までに編集職になれなかったら転職しよう」って自分の中で決めていたんです(グラフc)。だから、「できないでしょ?」と言われた話の流れで「じゃあ、私辞めます」って言ってしまって(笑)。特別な決意があったというよりは、「希望の職種に就けないのなら…」という、自然な選択だったと思っています。

等身大の自分をさらけ出し、積み重ねた実績をアピール

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–どうやって転職活動を進めたのですか?

新聞の求人広告を見ていました。出版社や新聞社の求人は、当時新聞にたくさん載っていたんですよね。とはいえ、未経験で採用試験を受けられるようなところは少なかったですし、大手出版社の第二新卒採用も落ちてしまいました。

採用試験を受けたのは全部で4、5社です。3カ月くらいの転職活動を経て今の会社から内定をもらうことができ、前の会社を退職後すぐに働きはじめました(グラフd)

–転職活動中に不安になることはなかったですか?

転職先が決まる前に辞めるといってしまったものの、実家暮らしでしたし、お金や生活の不安はあまりなかったです。「どこかの会社には決まるだろう」と楽観的に考えていたので、編集職に就けるかどうかについても深刻に悩んだりはしませんでしたね。

–今の会社に入社した決め手を教えてください。

もともと、女の子に関わる雑誌に携わりたかったので、読者である美容の専門職の方々を通して、最終的に女の子を可愛くできるという点でありかな、と思ったんです。

ただ、当時の私は一般誌(幅広い分野の記事を載せている雑誌)と専門誌(ある特定の専門分野の記事だけで構成される雑誌)の区別もついていなくて、面接のときに「専門誌だけどいい?」って聞かれて、その場で「専門誌ってなんですか?」って聞いたくらい(笑)。でも、慣れない中でもやっぱり編集の仕事は楽しかったですし、入ってすぐにこの仕事を選んで正解だったと思いました(グラフe)

–転職活動で苦労されたことと、乗り越えた方法があれば教えてください。

新卒の就活のときも面接で必ず落ちるっていうくらい、とにかく面接が苦手なんです。なにを話したらいいかわからないんですよね…。結局、面接が苦手っていうのは克服できてないんですけど、そんな自分をさらけ出して「等身大でいること」は意識しました。

その結果、「堂々としていて、他にいないタイプだ」と評価されて、採用してもらえたみたいです(笑)。でも、飾らない自分でいたからこそ、入社してからも居心地よく働けたんだと思うので、自然体でいたことはやっぱり良かったんだと思います。あとは、自分の直観を信じること。自分の気持ちに耳を傾けて、やりたい仕事を探し続けるということですね。

–前職での経験が転職活動に活かされたと感じる場面はありましたか?

営業で売上の数字などをみていたので、雑誌の広告と編集の仕事がどう繋がっているのかを知っていたことは良かったかもしれないですね。「お金の感覚が身についている人材」として、転職に有利になったと思いますし、入社後、現場でもだいぶ重宝されました。

ただ、やっぱり編集職の経験がないことは不利だと思ったので、今の自分にできることをアピールする努力はしました。前職では、企業相手に雑誌に掲載する広告の営業をしていたので、履歴書に「企業広告で○○円分の成果をあげました」などの実績を、なるべく具体的に書くようにしたのも良かったのかもしれません。

自分の“やってみたい”を実現できる、楽しい仕事に出会えて幸せ

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–現在のお仕事内容について具体的に教えてください。

入社した10年前からずっと現場で美容師さんをはじめとした美容の専門職の方を対象にした取材や撮影、編集を担当していました2年前からは副編集長になったので、編集長のやりたい企画の大枠を元にチームメンバーをとりまとめる役割も担っています(グラフf)

私は現場が大好きなので、ある程度の発言権があって現場にいられる今のポジションは最高に居心地が良いですね。コツコツ提案してきたやりたかった企画が通ったり、最近だと雑誌の大リニューアルに関わったりと、ますます仕事が楽しくなってきています(グラフg,h)

当初抱いていた「雑誌を通じて女の子に関わりたい」という願いも間接的ではありますが叶っていますし、意外にも美容師さんたちとの感性が合ったので、その点でも今のお仕事で良かったなと思いますね。

–転職前と現在のお仕事で大きく違うところはどこでしょう?

時間が不規則になったというのはありますね。前職は営業だったので、残業はあっても自分の仕事が終わっていたら帰れたんです。その点、今は、取材先の都合に合わせて動くことが増えたので、自分の仕事の進捗だけでスケジュールを調整できるわけではなくなりました。

でも、人対人の話なので「この日は予定があるので別の日はどうですか?」と相談できますし、今の仕事は趣味の延長線上にあると思えるくらい楽しいので特にストレスは感じていないですね。

–今後のキャリアプランについてはどう考えていますか?

ある程度の責任もあり、なおかつ現場で活躍できる今のポジションがすごく好きなので、「編集長になりたい」とか、そういう気持ちはありません。ただ、雑誌も不況の時代なので、「編集」というツールを使って、何か別の面白いことができそうだと思ったら転職や独立も考えるかもしれませんね。

最近ようやく結婚や出産についても考え始めました。今までは仕事が楽しくて、気持ち的にそういうものが入り込むすき間がなかったんですけど、この会社で10年やってきた一つの区切りとして、仕事との関わり方は見つめ直してもいいかな、と思っています。

U29女子へのアドバイス「外に目をむけて、頭の風通しをよくしておく」

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–最後にU29女子にアドバイスをお願いします。

まずは自分の気持ちに素直になって、直観を信じることだと思います。今の会社を辞めることを迷っているのであれば何らかの未練があるわけだから、すぐに転職を考えないほうがいいのかもしれません。後悔のもとになるかもしれないので。ただ、そうじゃないならすぐにでも動いたほうがいいと思いますね。

あとは、習い事でもなんでもいいので、外に目を向けて、興味のあることをまずはやってみるのも必要なことだと思います。私自身、前職のころ「このままでいいのだろうか」と思い悩み、休みの日を利用して店舗の経営を学ぶ専門学校に通ったことがあります。そのおかげで、「わたしがやりたいのはやっぱり雑誌作りなんだ」と原点に立ち返り、改めて本当にやりたいことが見えてきました。興味のあることを「まずは取り入れてみよう」と思える心のゆとりを持つことが、“頭の風通しの良さ”を保つことに繋がり、結果的に自分に合った就職先に巡り会えるのではないでしょうか。

(佐々木ののか+プレスラボ)