仕事と趣味を両立するには「心が満たされているか」が大事

2015年12月07日

「自分を変えたい」と思ったとき、みなさんはどんな行動を起こしますか?
引っ越してみる、いつもとは違う友だちに会ってみる、職場を変えてみるのも一つの方法かもしれません。でも、転職にはなかなか勇気がいりますよね。
そこで、さまざまな理由で過去に転職をした先輩女性に、一体なにを変えたかったのか、そして転職により、なにが変わったのかを伺います。みなさんの迷いを解決するヒントが見つかるかもしれません。

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今回お話を伺ったのは、デジタルコンテンツのクリエイターを養成する教育現場で、学生募集や運営、広報からスタッフマネジメントまで幅広い業務を担当している森内さん。アート系の専門学校を卒業している彼女の趣味は「イラストを描くこと」だと言います。

そんな森内さんいわく、「現職が一番趣味を楽しめている」のだとか。契約社員からスタートしたキャリアも、正社員への登用を経て6年目を迎えた今年の秋から、管理職としてのステップを踏み出しました。
そんなキャリアップの一方で、趣味の時間を確保し仕事との両立ができている森内さんに、その秘訣を伺いました。

【森内さんから学ぶ成功の秘訣】

・「本当にやりたい」と思える仕事を探求し続ける
・プライベートの時間を趣味に投資するため、仕事で知的好奇心を満たす
・家事などは時間を決めて行い、プライベートの時間を確保する

続けることで見えてきた「心を満たす」仕事の大切さ

森内芳枝さん(32歳)デジタルコンテンツクリエイター養成学校・マネージャー 

森内芳枝さん(32歳)デジタルコンテンツクリエイター養成学校・マネージャー

――アートがお好きとのことですが、もともとはご自身も絵を描いていたんですよね?

趣味のイラストは専門学校を卒業してからずっと続けています。やっぱり、自分の作品を見た人が「いいね!」とか「おもしろいね」って反応してくれるのは嬉しいし、楽しいので。あくまで趣味だからこそ、誰からも強制されることなく自分のペースで続けられる良さがあると思います。

――忙しい毎日の中で、どのように趣味の時間を作っていますか?

基本的には仕事が休みの日に描いています。だけど、休みの日には家事もあるし、美容室に行ったり友だちとご飯に行ったりもしたいじゃないですか。そういったプライベートな時間もしっかり確保したいので、「家事は集中して2時間以内に終わらせる」など、時間を区切ってダラダラしないようにしています。

平日は、寝る前に音楽を聴いたり映画を見たりしながら描くことも多いですね。1時間でもよくて、絵を描くとかなりリフレッシュされます。

――転職前と後で、創作活動になにか違いはありますか?

前職は美術館に勤めていたのですが、そのときは今より拘束時間が長かったのもあり、あまり創作活動の優先順位が高くありませんでした。一時的ではありますが、全く絵を描いていない時期もありましたね。

――絵を描く余裕がなくなってしまったのでしょうか?

そうですね。当時は「仕事もプライベートも忙しいから」だと思っていましたが、心が満たされているかいないかの違いだと思います。
いまも昔も「自分と違う業種の人」や「自分の知らない世界を知っている人」の話に興味があるんです。だけど、以前の職場では社内の人との交流がメイン。その分、仕事が終わってからの時間を人との交流のために使っていて、趣味にあてる時間は全然ありませんでした。

その点、いまの会社に転職してからは、仕事を通じて異業種の方たちとの交流があるので、日々新しい発見や知識に出会います。自分の興味や心の欲求が仕事で満たされるので、プライベートの時間を趣味のために使えるようになりました。
逆にいえば、仕事で心が満たされていないと趣味に時間を割けるほどの心の余裕もなくなってしまうんじゃないかと思います。

「クリエイターの側で働きたい!」
3度の転職の末に辿り着いた「クリエイターを育成する学校」

知人の会社のシェアオフィススペースに描いた壁画。二ヶ月半かけて描きあげたとのこと。

知人の会社のシェアオフィススペースに描いた壁画。二ヶ月半かけて描きあげたとのこと。

――転職前の美術館では、どのようなお仕事をされていましたか?

美術館の会員受付デスクを担当していました。新規会員の受付をしたり、既存の会員に新しい展示の「図録」を発送したりといった、事務的な作業がメインですね。
美術館の前にも2回ほど転職していますが、一貫してデザインやアートなどのクリエイティブな分野に関わる仕事に就いています。

――転職したのはどうしてですか?

美術館の仕事はすごく充実していたし、人にも恵まれたとても楽しい環境だったんですけど、どうしても自分のいた部署は事務的な仕事が多くて。そんな現状に物足りなさを感じていたんです。そんな時に、別部署の担当者がクリエイターの方と実際にやりとりしているのを見て、クリエイターと近い関係で仕事をしているのが羨ましいなと思って。

私は元々、クリエイターが作品を生み出す現場に携わりたいと思っていました。作品作りに向かう姿勢や制作過程の苦楽を見守ること、クリエイターをサポートするような仕事が理想だったので、この仕事に執着することはないと思ったのが転職を決めた理由です。

――教育関係の仕事を選んだのには理由があるのでしょうか。

いまの職場を選んだのは「クリエイターを育成する場所=たくさんのクリエイターやその卵がいて、真剣に学ぶ姿を間近で見られる」というのが大きいので、正直言って教育関係に興味があった訳ではありません。なにかを生み出す仕事をしている人のストイックな考え方や姿勢は自分にない部分でもあるので、憧れています。そういう姿を見ていると、自身の作品作りや仕事への励みになりますし、「わたしもがんばろう!」という原動力になっているんです。

また、転職に関して自分が決めているルールのひとつに、「どんな業種でもどんな雇用形態でもいいから、デザイナーやクリエイターの制作現場に関わる仕事」というのがあります。そこがクリアされているのであれば、雇用条件などはあまり意識していなかったように思いますね。

U29読者へのアドバイス「心が満たされると、余白の時間を作れるようになる」

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――では、最後にU29読者にアドバイスをお願いします。

やはり「続けること」が大事だと思います。ただ、それは自分が「好きだ」と思えるものに出会えた場合です。わたしの場合、仕事に関しては「これだ!」と思えた今の仕事に出会うまで、3回の転職を経験しています。それは、本当にやりたいことや心を満たしてくれる仕事を探求していたからです。

心を満たしてくれる仕事に出会えば心に余裕が生まれ、自然と趣味にあてられる時間は増えるし、仕事もプライベートも充実したものになると思っています。まだ心を満たせる仕事に出会えていないU29の方が、「これだ!」と思える仕事を見つけられることを祈っています!

 

(木村衣里/プレスラボ)