「ママにも平等にチャンスがある」 グロースハッカーを通じて伝えたい想い

2017年01月19日

ママたちのリアルライフ&ワークスタイル
vol.2:ママグロースハッカーズ1期生・高橋愛子さん

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子育て中のママによる在宅ワークの新しい可能性として、全国から注目を集めている「ママグロースハッカーズ」。この記事では、2016年6月から本格的に活動を開始したママグロースハッカーズ1期生のワーク&ライフスタイルのリアルに迫る。第二回目は、1期生の中でも目覚ましい活躍を遂げている高橋愛子さんに話を聞いた。

時間は与えられるのではなく、作り出すもの!
子どもとの時間を犠牲にしない働き方

ママグロースハッカーズ第一期生の高橋愛子さんは、ご主人と10歳のお嬢さん、7歳の息子さんの4人暮らし。写真が趣味で、撮影スタジオに勤務したこともあり、他にもブライダルプロデュースやWebディレクションなど、多彩な仕事経験を持っている。ママグロースハッカーズでも、チームのリーダー的な存在だ。

愛子さんは、大分県出身。福岡のメーカーに総合職として就職し、福岡県南地域の営業を担当していた。愛子さんの勤務する会社では、当時女性の総合職がまだまだ少数派だった。会社から期待され、成果も出すことができてやりがいを感じていたが、その分プレッシャーも高く、体調を崩してしまい退職。復帰してからは、自分の興味のある分野にチャレンジしたいと、当時のデジタルハリウッド福岡校でデザインを学び、色彩検定1級も取得。その後、結婚を機に東京に移住し、ブライダルプロデューサーとして働いた。結婚する二人のことを考えて、その人たちにぴったりのプランを提案し、喜んでもらうブライダルの仕事は天職のように感じて毎日楽しかったが、妊娠して退職。しばらくは子育てに専念することになった。

「自分にとって面白そうと思えることは、何でもチャレンジしてみる性格なんです。だから仕事にも全力でしたし、子どもを授かってからは、できる限り子どもと一緒の時間を過ごそうと決めました」

2011年に福岡に戻り、その後しばらくの子育て期間を経て、下の子が幼稚園に行き始めた頃から、かつてのチャレンジ精神がまたムクムクと湧いてきた愛子さん。近所の撮影スタジオでのアシスタントや、在宅でのライターなど、子どもとの時間とやりくりしながらできる仕事をいくつか試してみたが、繁忙期が子どもの休みと重なってしまったり、一人前の報酬を得るにはかなりのスキルと経験が必要だったりと、なかなかいい出会いがない。そんな中で見つけたのが、ママ向けWebグロースハッカー養成講座。かつて20代の頃に通ったデジタルハリウッド福岡校に、再び通うことになった。
「各自が動画教材でソフトの使い方を学びながら、顔を付き合わせた座学では、より実践的な考え方や分析、企画、マーケティングなどを学べる授業だったので、とてもためになりました。福岡や東京時代にお客さんと直に接する中で身につけてきたことや、デザインや色彩を学んだ下地があったからこそ、授業の内容もスッと理解できましたね」
2016年5月に講座を修了し、6月から本格的にママグロースハッカーズとしての活動を始めている。

愛子さんの1日は、朝6時半過ぎに子どもたちを起こすところからスタート。7時半までには子どもたちが学校に行き、その後家事を済ませて、10時ぐらいからPCに向かう。仕事に集中できるのは、子どもたちが学校から帰ってくる15時頃まで。その後は、おやつを食べさせ、習い事への送り迎えをし、夕飯から寝るまでの22時ぐらいまではバタバタと過ぎていく。子どもが寝静まってから、夜中1〜2時ぐらいまで、再び集中してPC作業に入る。当初、講座を受ける前に抱いていたイメージより、実際ははるかに大変だという。
「“空いた時間”にやろうと思っていても、家事と子育てをしていたら実際には“空いた時間”なんてないんですよね。自分で無理にでも空けないと! 案件数をこなした上で質も上げていかないと稼げないので、のんびりとはしていられませんね」
そんな時に心の支えになるのが、ママグロースハッカーズのメンバーだ。講座の受講時から一緒に課題に取り組み、一緒に成長してきたメンバーだけに、連体感も強い。今はそれぞれ自宅を拠点にし、一つの教室や場所に集まって仕事を進めることは少ないが、それでも心は繋がっている。
「深夜にPCで作業中、他のメンバーもオンラインになっているのを見ると、みんな頑張ってるなって励みになります。私一人だったら、ここまで続けてこられなかったでしょうね」

お子さんの習い事の送り迎えをする愛子さん

お子さん二人はピアノの他、剣道や書き方講座など習い事を掛け持ちし、愛子さんも送り迎えに大忙し。でもそれが、家族の大切なコミュニケーションの時間でもある

組織力をつけて、ママたちの実力を対外的にもきちんと示したい

愛子さんのデザイン案採用率は45%台、勝ち率は36%台(2017年1月現在)。これは、ママグロースハッカーズの中でトップクラスだ。
「他のメンバーはユーザー目線で案を作ることが得意な人が多いんですが、私は以前勤めていた時にWebやパンフレットをデザイナーに発注するディレクションに携わった経験があるので、ついついクライアント目線で案を作ってしまうんです。“こんな案だったら、企業としてもABテスト(Webサイト上で画面やボタンのデザインを出し分け、ユーザーの反応の変化を測定するテスト)を試してみたくなりませんか?”という発想で考えていったら、結果的にクライアントから採用してもらうことが増えました。でも、テストに採用された案が実際にコンバージョン(商品購入や資料請求など、そのWebサイトにおけるゴールに到達する割合)のアップに貢献できるかどうかは、また別で。だから今は、採用率だけでなく、その後の勝率(採用されたデザインのうち、実際にサイト上でコンバージョンアップにつながったものの割合)のアップを目標に、頑張っています」
愛子さんは、コンバージョンが高い案を分析してその理由を探る、精度の高いデザインのディティールを研究する等の工夫を、日々重ねている。成果が上がらなければ稼げない仕事なので、スキルアップのための勉強が欠かせない。それでも、数ヶ月前より確実にできることの幅が広がり、自分の成長を実感できるのは、大きなモチベーションになっている。

ママの仕事に興味深々の子どもたち

ママの仕事に興味津々な様子の子どもたち。お嬢さんはすでに、ママが使っているデザインの教科書を自主的に読んでいるそう。親子でグロースハッカーになる日も、そう遠くない!?

愛子さんは、福岡で営業をしていた頃も、東京でブライダルの仕事をしていた頃も、困っているお客様の課題を解決したいという思いで仕事に取り組んできた。それは、グロースハッカーの仕事でも同じだ。解決のために自ら仮説を立て、それを表現する。それが数字となって結果に現れるから、わかりやすい。
「Kaizen Platformのサイト上でグロースハッカーの勝率が一覧できるようになっているので、人より負けているとやっぱり悔しいって気持ちが湧いてきますよ。自分がどう努力すればいいかもわかっているので、あとはやるだけって感じで、やる気が出ますね」

Kaizen Platformサイト上の愛子さんのプロフィールページ

Kaizen Platformサイト上の、愛子さんのプロフィールページ。各カテゴリーでランキング10位以内に入ったことを示すバッジが、多数表示されている。デザイン案の作成時は、「ユーザーにとっての迷いや戸惑いをなくして、スムーズに次の行動に導けるようにいつも気をつけている」という

そんな愛子さんは、これからのライフとワークのバランスを、どのように考えているのだろうか。
「子どもとの時間を優先するというスタンスは、これからもずっと変わらないと思います。でも、今の状態で仕事の時間を減らしてしまったら、伸ばせるスキルも伸ばせなくなり、クライアントが安心して仕事を任せられる存在にもなれません。今は、量をこなす中で質を高めていく時期だと腹をくくり、睡眠時間を削りながらも頑張っています。経験を積むことで、“こうしたらコンバージョンが上がるはず”という仮説を素早くデザインに落とし込むスキルを、早く身につけたいですね」
また、仕事を通じて世の中の新しいサービスを知ることができるのも、この仕事の魅力だという。
「私のようなママをターゲットにしたサイトを作る場合は、扱っている商品も私たちの生活に深く関係があるものがほとんどです。サービスを研究したり、他社と比較すること自体が、一人の消費者として参考になります。普段から外に働きに出ているわけでないママにとっては、世間との接点になり、良い刺激になりますね」

ママグロースハッカーズの組織全体のまとめ役としても期待されている愛子さんに、今後の展望を聞いてみた。
「ママグロースハッカーズは、メディアにもたくさん取り上げられ、世間からの注目度は高いですが、まだまだ私たちの実力が追いついていないことへの不甲斐なさも感じています。これからは、実力の高い人にどんどん入ってもらい、一人ひとりの強みを活かしスキルを補い合えるような組織力を高めることで、ママたちの力を個ではなく組織として、対外的に示していければと思っています。そして、この仕事を通じて、フルタイムでの仕事をするのが難しいママたちにもチャンスは平等にあるんだということを、伝えていければいいなと思いますね」

愛子さんのチャレンジは、ママグロースハッカーズ全体のチャレンジでもある。法人化も見据え、本格的に対外的な仕事を展開していくママグロースハッカーズの今後が楽しみだ。

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Mama Growth Hackerz(ママグロースハッカーズ)とは
子育てママの目線を生かしたリサーチ・企画・デザイン・運用等の全てをワンストップで対応できる日本初・ママだけのグロースハッカー集団です。ママ向けWebグロースハッカー養成講座の修了生が中心となって活動しています。
http://www.mgh.plus/