[子育てママの再就職] 夫の反対を賛成に変えるコミュニケーション

2015年04月16日

[子育てママの再就職] 夫の反対を賛成に変えるコミュニケーション
結婚・出産したら仕事はどうする? 働き女子が将来を考えるときに、誰もが一度は思うこの問題。先輩ママたちはどうしたのか、出産後の再就職支援を手がける「ハナマル総合研究所」代表の上田晶美さんに、リアルストーリーを聞きました。

【子ども2人を保育園に預けて再就職】
今回の相談者
森 貴子さん(30歳/仮名)

高校卒業後、飲食店に契約社員として入社し接客を担当。25歳で同じ店で働く調理師の夫と結婚し、出産退職。第1子を出産、3年後に第2子を出産する。その一年後に再就職を決心し、医療事務の資格を取得。現在は、派遣スタッフとして総合病院で就業中。

資格取得に、夫がまさかの反対

森さんは、出産退職後しばらく育児に専念しましたが、もとは働くのが好きな方。家計を助ける必要も感じ、下のお子さんが1歳のときに再就職を決心されました。

ただ、飲食店の仕事は土日の出勤もあり、育児との両立が難しい。そこで事務職に転向するために何か資格を取ろうとスクールの資料を取り寄せたところ、「自分の許可もなく資格を取るのか」と夫が反対。その説得から再就職活動が始まりました。

夫婦が100組いれば、夫の説得方法も100通り。これはあくまでも森さんのケースですが、いつもオープンな2人は衝突も日常茶飯事なのだそうで(笑)、このときも森さんは「許可とは何?」と負けずに反論。そこで活用したのが、私がアドバイスする「未来予想図」です。

これは、20年先くらいを目途に、子どもの進学などの家族のイベントと、毎年の収入と支出の予測を書き出すというもの。いつごろどの程度の出費があり、それにはどの程度の収入が必要か、紙に書けば明白。夫も「なるほど」と納得し、資格取得をサポートしてくれるようになりました。

「通信+スクーリング」のコースで医療事務を取得

森さんが選んだ資格は医療事務です。事務職でありながら、受付や会計など接客の要素もある。一日中、ずっとパソコンに向かう仕事は向かないと考えての選択でした。

そして、通信とスクーリングを組み合わせたコースを受講し、スクーリングの日には夫が休みを取って子どもたちを預かれるよう勤務のシフトを調整。資格取得後は、スクールの関連企業の人材派遣会社に登録し、総合病院での就業を開始。いずれ正社員を目指すために、今はいろいろな医療機関を経験したいといいます。

ちなみに5歳になる上のお子さんはもともと通っていた幼稚園の延長保育を利用、2歳の下のお子さんは保育園に預けています。

飲食での接客経験が事務の仕事に活きた

前職とはまったく違う仕事ですが、実は前職の経験が役立っています。森さんは「ちゃきちゃき」という言葉がぴったりの、明るく元気な対応ができる方。その接客力が見込まれて、仕事の紹介をすぐに受けることができたのです。

経験や資格は再就職の強みにはなりますが、最後はやはりその人自身。最初は夫に反対されたこと、幼稚園と保育園を掛け持ちしなくてはならないこと、めげそうな要素も明るく乗り越えて、持ち前の行動力で目指す道を前に進む。彼女のそのパワーが、再就職の成功をもたらしたのです。

【森さんのケースに学ぶ3つのポイント】
1.「未来予想図」を書き出し、再就職の必要性を夫 と共有する
2.保育園だけでなく、幼稚園の延長保育も利用する
3.派遣の仕組みをうまく利用し、経験を積む

キャリアコンサルタント 上田晶美さん■プロフィール
上田晶美
ハナマルキャリア総合研究所 代表
キャリアコンサルタント歴20年のベテラン。10年間の大手流通会社での人事経験と、3児の母として子育てをしながら仕事をしてきたノウハウをもとに、結婚・出産後の再就職を積極的に支援。女性のキャリアについて年間200講演を行う。『ママも今日から働くワ! 主婦の再就職講座』、新刊『働くための話す・聞く』をはじめ著書多数。
http://hanamaru-souken.com/