大竹のり子さんに聞く!第2回【お金と賢く楽しく付き合う方法】

2015年07月09日

結婚や出産など、この先U29女子が迎えるライフイベントを考えると悩ましいお金のこと。計画的に貯金をしなくてはと思いつつも、なかなか貯金額が増えないという人も多いのではないでしょうか。そこでファイナンシャルプランナーの大竹のり子さんに、「20代後半からの貯金術」について聞いてきました。今回は「具体的な貯金方法とお金と上手に付き合う方法」です。

どうやったら貯金できる?パターン別貯金アドバイス

前回、様々なライフイベントを前に「タイミングを逃さず動くため」には貯金が必要というお話を伺いました。今回は、3人のU29女子のモデルケースをもとにそれぞれの貯金アドバイスを教えてもらいました。

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派遣社員のAさんは近い将来に結婚を控え、貯金を早く増やしたいと考え、節約などやりくりしているものの、なかなか増えないのが現実。今のところ、転職などによって収入UPをさせる予定はありません。

大竹さんのアドバイス「貯金を増やそうとあせって収入における貯金の割合をはじめから多くしてしまうと、毎日の生活が苦しくなってしまい、結果として貯金が増えないという悪循環にはまってしまいます。まずは、地道に収入の1割から貯金してみましょう。そこで貯金の楽しさに目覚めてから貯金額を増やしていくのは賛成です。貯金に向いている性格と、不向きな性格がありますから、徐々に増やして自分にとってのベストな金額を見極めましょう。
また、収入が少ないことを気にしているようですが、収入が少ない方がやりくり上手というケースも多いのです。諦めずに自分にとって現実的な金額から貯金をスタートさせてみてください」

<おすすめの貯金計画>まずは収入の1割(Aさんの場合16,000円)を貯金して、ある程度貯まったら貯金金額の見直しを。結婚も控えていることですし、徐々に増やし収入の2割くらいまではがんばりたいところですね。お弁当を持参するなど、節約にも前向きなので十分可能だと思います。

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契約社員のBさんは、この先結婚など特に決まったライフイベントはありません。実家で両親と暮らしている余裕から、つい好きなものにお金をかけすぎてしまいます。貯金が増えないことを少し不安に感じています。

大竹さんのアドバイス「まだ結婚をリアルな問題として捉えていないようですね。しかし、運命の出会いはいつあるかわからないもの。実家で暮らしているということもあり、「今が貯めどき」です!今のうちに貯金習慣を作っておけば将来困ることもないでしょう。
このまま結婚しないという人生の選択をしても、両親と暮らし続けるなら、介護費用や自宅のリフォーム費用などもかかってくるかもしれないですし、ずっと健康で今の仕事を続けられるとも限らないので、やっぱりお金は必要です。すぐにでも貯金をスタートしましょう」

<おすすめの貯金計画>実家暮らしなので収入の2割(Bさんの場合40,000円)を貯金に回しましょう。結婚の予定がないからと先延ばしにするのは危険。どのような暮らし方を選んでもこの先、生きていくのにはお金が必要です。

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正社員で収入も多いCさんですが、多忙ゆえタクシー代や付き合いの飲み会代など無駄な出費も多いのが悩み。気がつくとお財布がからっぽということも多く、自分でも一体何に使っているのかよく分からない。

大竹さんのアドバイス「収入が多いのに、何に使っているか分からないという方におすすめの方法は、家計簿をつけること。デパートで買う1万円のシャツも、コンビニで買う100円のコーヒーも、家計簿に『書く』という労力は同じ。忙しい人は家計簿をつけるという作業が面倒になるため、小さな出費をしなくなります。
また、支出が明確になるため、『タクシー移動が多いから会社の近くに引っ越そう』『飲み会は月に2、3回にしよう』など節約ポイントも具体的になります。手取りが多くても貯金は収入の1〜2割で大丈夫です。無理して増やさず、地道に貯金を始めてみましょう。」

<おすすめの貯金計画>家計簿をつけて無駄な出費の把握をすると◎。1人暮らしなので収入の1割(Cさんの場合25,000円)を貯金に回しましょう。結婚後に専業主婦になりたいと思っているのなら、貯金には余裕をもたせて。ボーナスの何割かを貯金に回すと、目標金額まですぐに手が届くはずですよ。

 

お金と上手に付き合うアイディア

【目的もなくコンビニに行かない】
私たちの暮らしに溶け込んでいるコンビニですが、用もないのに立ち寄るのは浪費のもと。コンビニは買い物をしたくなるように考えられて設計されています。買う気がなかったのについカゴへ入れてしまう…など無駄使いの原因になりかねません。どうしても必要な物がある場合以外は行かないなど、程よい距離感で利用しましょう。

【お財布をパンパンにしない】
「いつもお財布がレシートでパンパン」という人は、家計簿をつけてみるのがおすすめ。コンビニやカフェなど小さな出費が重なった結果、レシートが増えているという事実に気がつくはず。また、一度家計簿をつけてレシートを整理する習慣がつくと、お財布が汚くなるのを防ぐために小さな出費をしなくなるはずです。

「ポイントカードやクレジットカードでお財布がパンパン」という人は、売り手に惑わされやすい人。「手元に現金がないからとりあえずクレジットカードで支払いを」と考えてしまうと、買いたい衝動を抑えられず、逆にクレジットカードに使われてしまっています。解約も検討したほうが良いでしょう。

「小銭がいっぱい入っている」という人はお金に対して大雑把。お札で出してしまうから小銭がたまってしまうのです。小銭がいくら入っているか把握していないのでは。お金と上手に付き合うには、お財布の中にいくらあるのかを把握するのが重要です。「小銭がいっぱい」という状況にならないよう心がけてみて。

【値札を見ずに予測するゲーム】
ショップで値札を見ずに、「この商品はいくらかな?」と予測してみます。例えば3,000円と予測したのに、実は6,000円の場合、あなたはその商品を3,000円の価値だと判断したということなので、購入はやめておきましょう。

このようにちょっとしたゲーム感覚で始めると貯金は楽しくなるはずです。貯金や節約というと、生活を切り詰めるなどネガティブなイメージがつきまといますが、「これは100万円貯めるゲームなのだ」と思うと楽しくなってきませんか?プレイヤーを増やして、貯金仲間同士で通帳を見せ合っても良い刺激になりそうです。いかに生活の質を落とさずに、貯金を増やすかのゲーム。そう考えると、ちょっとワクワクしてきますよね。

この先の人生を切り開く20代での貯金習慣
「20代でしっかり貯金習慣を身につけておけば、30代以降にやってくる結婚や出産、その先のさまざまなライフイベントを乗り切る力になります。
お金がないと、不安を払拭するためにやみくもに働いたり、目先の生活費のためだけに働いたりすることになりかねません。自分の人生ときちんと向き合うためにも貯金は必要です。
さらに、お金があれば『お金では買えないもの』にエネルギーを注ぐこともできます」
と、大竹さん。なんだか楽しみながらできそうですね。この先も安心して毎日を送り、人生を充実させるためにも貯金を始めてみませんか?
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<プロフィール>
大竹 のり子(株式会社エフピーウーマン代表取締役・ファイナンシャルプランナー)

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出版社の編集者を経て2005年4月に、女性ファイナンシャルプランナーによるお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。 現在、雑誌、講演、テレビ・ラジオ出演など多くのメディアを通じて正しいお金の知識を学ぶことの大切さを伝えている。『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)、『老後に破産しないお金の話』(成美堂出版)など著書は40冊以上に及ぶ。一般社団法人金融学習協会理事。
エフピーウーマン : http://www.fpwoman.co.jp/