大竹のり子さんに聞く!第1回【気楽に始める賢い貯金のし方】

2015年06月30日

結婚や出産など、この先U29女子が迎えるライフイベントを考えると悩ましいお金のこと。計画的に貯金をしなくてはと思いつつも、なかなか貯金額が増えないという人も多いのではないでしょうか。そこでファイナンシャルプランナーの大竹のり子さんに、「20代後半からの貯金術」について聞いてきました。今回は「目標設定の仕方や貯金額の決め方について」です。

まずは100万円を目標に!

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20代後半の女性には、これから「結婚」「出産」「育児」など人生における大きなライフイベントが待っています。結婚後も「マイホーム購入」を検討したり、結婚の予定はなくてもキャリアアップや自分らしい働き方を目指して転職を考えたりする人も多いでしょう。
お金がかかるこれからの時期をスムーズに乗り切るには、一体どのくらいお金を準備しておけばいいのでしょうか?
「年収分くらいは貯めておくと、さまざまなライフイベントに柔軟に対応できると言われています。年収には個人差があると思うのですが、目安となる貯金額は400万円です。特に結婚や出産は、自分にとってベストなタイミングで叶えたいですよね。貯金がないとライフイベントのたびに貯金する期間を作らなくてはいけなくなります。例えば「結婚資金が貯まったら結婚しよう」と結婚のタイミングを先延ばしにすることになるなど、「お金がない」という理由でベストなタイミングを逃したくないもの。そうならないためにも、今のうちに貯金をはじめることが大切です」と大竹さん。

一般的に、結婚式には400万円、出産には50〜60万円、マイホームは4000万円の家を買うとして頭金で800万円ぐらい必要と言われています。400万円あれば、貯金を少しずつ使って対応できますね。

ただ、U29女子で貯金が400万円ある人は多くないかもしれません。貯金に苦手意識がある人もいると思います。そんな場合は、まず100万円を目標に貯金すると良いのだとか。
「400万円というと、手が届かない気がしますよね。そういうときは、単位を自分が貯められそうな金額まで落とし込むことが必要です。
月に2万円なら年間で24万円貯まります。このペースで4年間、貯金すれば96万円。あと4万円で100万円に手が届くと考えると、なんだかできそうな気がしてきませんか?」

大竹さんがマネー相談に乗っているお客さんの多くは、100万円貯めると貯金スイッチが入って、この金額をキープして増やしたくなるのだとか。
いきなり大きな金額を設定して張り切らず、まずは現実的な金額からチャレンジ!モチベーションが上がる金額100万円をまずは目標にしてみて。そのようにして徐々に400万円に近づけていくとよいでしょう。

 

月収における貯金のベストな割合は?

実際に月収における貯金の割合はいくらくらいがベストなのでしょう?
「ご実家にお住まいの方は月収の手取り分の2割、1人暮らしの方は1割くらいを貯金にあてるのが良いでしょう。最初からいきなり月々の貯金額を多くしてしまうと挫折してしまったりしやすいので、初心者にはおすすめしません。まずは2割(1人暮らしなら1割)からはじめてみて、もう少しできそうと思ったなら、その都度見直しをして5000円増やしてみるなど、現実的な金額を徐々に増やしていくと失敗しにくいようです」

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最初からがんばりすぎず、続けることが大切なんですね。
また、「最初は貯金するつもりだったけど、ついお金を使ってしまう」という場合は、「お金に色をつける」と良いのだそうです。
「『お金に色をつける』とは、1ヶ月の収入を使用目的別に分けておくこと。月収の2割を貯金すると決めたなら、日常生活に必要な生活費とは別にあらかじめ給料日に取り分けておくことです。生活費と口座を分けたり、定期預金などに預けたりするといいですね。この収入の先取り貯金。貯められる女性はほぼ例外なく実践しています」
収入を先に取り分ける方法なら、うっかり使ってしまったということもなくなりそう。また、表のピンク部分を固定費として、それ以外の部分で生活費をやりくりしましょう。貯金に手を出さなければ、生活費はどのように使ってもいいのだそうです。

とは言え、「将来のため」と漠然とした目標のために貯金するのは難しいもの。自分はまだ結婚しないし貯金も先でいいかな…と思う人もいるはず。
「この先、結婚という選択をしなくてもお金は必要です。正社員とは言え、業績不振を理由に給与を減らされたり、失業したり。また両親の介護費用など想定外の出費があるかもしれません。『何かあったときにタイミングを逃さず動くため』に貯金があるといいのです。貯金があるのとないのとでは、動けるかどうかが変わってきます。
また、30代、40代、50代とそういったお金が必要なライフイベントはいくつもあります。そのときになって焦らないよう、貯金を習慣づけておくとよいでしょう。」

結婚や出産などもうすぐやってくるであろう具体的なライフイベントのために貯金するというよりは、これから先あらゆるライフイベントにお金がかかるので、それらを「タイミングを逃さず掴むため」には今からの貯金が重要ということなのですね。
さらに、20代のうちから貯金をする習慣ができていれば、30代以降もその習慣は続くんだそう。これは今からはじめた方はよさそうですね。
次回(7月9日公開)は「具体的な貯金方法とお金と上手に付き合う方法」です。
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<プロフィール>
大竹 のり子(株式会社エフピーウーマン代表取締役・ファイナンシャルプランナー)

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出版社の編集者を経て2005年4月に、女性ファイナンシャルプランナーによるお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。 現在、雑誌、講演、テレビ・ラジオ出演など多くのメディアを通じて正しいお金の知識を学ぶことの大切さを伝えている。『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)、『老後に破産しないお金の話』(成美堂出版)など著書は40冊以上に及ぶ。一般社団法人金融学習協会理事。
エフピーウーマン : http://www.fpwoman.co.jp/