[子育てママの再就職] 知人の紹介で再就職。ラッキー!のはずが…

2015年02月16日

[子育てママの再就職] 知人の紹介で再就職。ラッキー!のはずが…
結婚・出産したら仕事はどうする? 働き女子が将来を考えるときに、誰もが一度は思うこの問題。先輩ママたちはどうしたのか、出産後の再就職支援を手がける「ハナマル総合研究所」代表の上田晶美さんに、リアルストーリーを聞きました。

【上の子の就学後に、契約社員として再就職】
【今回の相談者】
吉村香織さん(35歳/仮名)

短大卒業後、金融系の会社の事務センターで一般事務を5年経験。25歳で結婚退職し、28歳で長女を、31歳で長男を出産。長女の小学校入学を機に、知人の紹介で化粧品メーカーに契約社員として入社したが、育児との両立に限界を感じて1年で退職。現在は短時間派遣で一般事務として就業中。

再就職は十人十色。家庭環境を見極めて

吉村さんは、上のお子さんの小学校入学を前に、私の再就職講座に参加された方。下のお子さんはまだ4歳でしたが、30代半ばというご自身の年齢も考えて再就職を希望されていました。

年齢を気にする方は少なくありませんが、私がアドバイスするのは「年齢よりも大切なことがある」ということ。30歳と50歳では再就職の状況も変わりますが、30代での数年の違いは誤差の範囲。それよりも、お子さんの成長度合いや家庭環境を見極め、無理のない時期を選ぶことが大切です。

しかし吉村さんの意思は固く、知人にも相談するうちに、紹介で小さな化粧品メーカーの販促部門に契約社員として採用されることに。下の子の保育園も見つかり、正社員スタッフのアシスタントを務める毎日がスタートしたのです。

「ママは今年の夏休みもいないの?」との娘の声に…

順調に思えた再就職ライフでしたが、盲点がありました。小学校には夏休み、冬休みといった長期休暇があるのです。その間、上のお子さんは朝から学童保育所に通いますが、母親が専業主婦のクラスメートの家庭ではお母さんが一日家にいます。

「どうして私のお母さんは家にいないの」。小学生になると、そうした疑問を持つ分別もつきます。再就職1年目を乗り切って迎えた2年目。長女が「今年の夏もお母さんはいないの?」と聞く淋しげな表情を見て、吉村さんは働き方を変える決心をしたのです。

そして化粧品メーカーを退職し、短時間派遣を得意とする派遣会社に登録。小学校の長期休暇時は週2日のみの就業に抑え、「平日の半分以上は家にいるよ」と伝えたら娘さんも安心されたとか。仕事内容よりも時間を優先し、今は一般事務として就業されています。

自分と自分の子どもに合った再就職のスタイルを

なかには、フルタイムでの再就職を抵抗なく受け入れるお子さんもいるでしょう。吉村さんの事例は、あくまでも吉村さんのケース。再就職は十人十色です。つまり、自分と自分の子どもに合った再就職のあり方を考える必要があるのです。

それによって働き方を抑えることになっても、キャリアのロスは努力で取り戻せます。一方、育児の失敗は取り返しがつきません。吉村さんも、いずれフルタイムに戻る希望を持ちつつ、今は派遣の仕事を楽しんでいます。その時々での優先順位を見失わないことも、ハッピーな再就職の条件です。

【吉村さんのケースに学ぶ3つのポイント】
1.自分の希望だけでなく、子どもや家庭の状況も考慮する
2.状況に合わせて仕事と育児のウエイトを柔軟に変える
3.年齢を必要以上に気にしない。再出発はいつでもできる

キャリアコンサルタント 上田晶美さん■プロフィール
上田晶美
ハナマルキャリア総合研究所 代表
キャリアコンサルタント歴20年のベテラン。10年間の大手流通会社での人事経験と、3児の母として子育てをしながら仕事をしてきたノウハウをもとに、結婚・出産後の再就職を積極的に支援。女性のキャリアについて年間200講演を行う。『ママも今日から働くワ! 主婦の再就職講座』、新刊『働くための話す・聞く』をはじめ著書多数。
http://hanamaru-souken.com/