仕事の効率をアップするノート術
打ち合わせ・会議編

2016年06月28日
皆さんは仕事でノートを使っていますか? メモを取るときは、スマホやタブレット、パソコンなどのデジタルツールを利用する人がほとんどかもしれません。でも、ノートをうまく活用すれば仕事の効率がグンとアップします!そんなノート術を、商品開発コンサルタント・ビジネス書作家の美崎栄一郎さんに教えてもらいました。

打ち合わせでは名刺をちらちら見ずに
ノートに席次と名前を書こう

まず、学校では習わなかったカンニングのテクニックからお話ししましょう(笑)。商談をするときには、まず名刺交換の場がありますよね。ここで、よくある風景が、名刺を机の上にパズルのように並べることだと思います。でも、これはおすすめできません。というのは、大人になると、なかなか興味のないことは覚えることができませんから、他人の名前を覚えるのも大変です。ですから、名前を呼ぼうとすると、毎回、名刺に視線を向けてしまいます。目線を動かすと、名前を覚えていないことを何度も態度で示すことになりますから、心証はよくありませんよね。
そこでおすすめなのが、打ち合わせが開始された段階でノートを広げ、そこに席次を書き、席の配置通りに名前を記入することです。名前を呼ぶときは、ノートのその部分に目線を落とせばよいわけですが、ノートを見ているだけなので名前を確認しているとは気づかれず、相手にも失礼だとは感じさせません。

打ち合わせの日付と開始時間は必須!
ノートには何でも書いておくこと

打ち合わせのノートは、日付と開始時間を書くのが基本です。場所は書いても書かなくてもOKです。場所の情報は、たぶん、ノートのほかの情報を見ればわかります。だれと何をしゃべったということが記録されていますので。ただし、日付と時間をあとから追うのは結構大変ですから、習慣にしておきましょう。打ち合わせのノートは、席次、日付と開始時間というのがルーティーンなのです。日付と時間の記録があれば、打ち合わせ内容を確認したくなったときに、手帳などで打ち合わせの日付を調べ、その日付の書かれているノートのページを探り当てるだけで済みます。余裕があれば終了時間も書いておくと、このような打ち合わせは大体どのくらいかかるかということが予測できるようになってくるので、仕事の効率がアップします。

打ち合わせ時のノートの書き方でポイントとなるのは、大事なことだけメモしようとしないことです。とにかく何でも書いておくことが重要。特にキーワード的な言葉だけは忘れずに書いておくことです。他人がやった仕事は、ほとんど検索エンジンで検索することができますが、自分でやっている仕事はブログやホームページに自分でアップしない限り、あとから検索不可能です。打ち合わせの内容は自分で記録しておくしかないのです。検索エンジンで検索できるのは他人の知恵と記録だけ。自分の記録は自分で残す。それができるのがノートなのです。ですから、とにかく何でも書いておく。何が大事になるのかなんて、そのときはわからないからです。ビジネスにおいては正解がありませんから、とりあえずメモ(記録)しておいて、あとから重要なポイントだけを○(マル)などで囲んで、判別がつきやすいようにすればよいでしょう。

わからない単語はノートに書きとめ、
あとから調べる「線」を引いておく

打ち合わせや会議では知らない単語が飛び交いますが、お互いが常識的に話している単語は、その場で「知らないから教えてください」とは言いづらいですよね。話に水を差すような感じになってしまいますから。たとえば、「インバウンド」という言葉は、外国人観光客向けの商売をしている人には一般的ですが、そうでない人にとっては「?」なワードです。私も最初は「何がバウンドするんだろう?」と思いました(笑)。ですが、その業界の人にとって当たり前の言葉だと、打ち合わせの中で普通に使われます。

打ち合わせや会議で意味のわからない単語が飛び交うと、あとから自分で勉強してキャッチアップするしかないわけです。そのときにノートが役に立つのです。わからない単語やあとから調べるべき言葉が出たときには、ノートの欄外まで、線を引っ張っておくのです。ノートを見返したときに、これらの単語について調べれば、次回からは話題や内容についていきやすくなります。

仕事の効率をアップするノート術

(左)わからない単語を書きとめ、ノートの欄外まで線を引っ張っておく
(右)それらの単語を調べ、意味や付加情報を記入する

わからない単語が出てくると一瞬「?」となりますが、その単語もとりあえず書きとめ、あとから調べる「線」だけ飛ばしておけば、話が進んでも継続して聞いていられます。展開の早い会議でも、この方法だと間に合うのでおすすめです。打ち合わせや会議の後は、議事録を作成することが多いと思いますが、日時や参加者、また必要なキーワードをうまく入れるとよい議事録になるでしょう。ぜひノートを活用して仕事を進めてみてくださいね。

美崎栄一郎(商品開発コンサルタント、ビジネス書著者・講演家)
美崎栄一郎
(商品開発コンサルタント、ビジネス書著者・講演家)

花王でアタック、ソフィーナなどの開発のプロジェクトリーダーとして活躍後、独立。デビュー作『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』がビジネス書大賞1位に。その後、花王でのサラリーマン経験から、実際の現場での経験を元にした使えるノウハウをまとめ、著作は30冊以上。2013年よりビジネス手帳の監修も手がける。