U29(ユニーク) 女子プロジェクト

【第3回】悩めるお仕事女子を救う! 尾木ママ 愛のお悩み相談室

尾木直樹氏(尾木ママ)

仕事、転職、結婚、出産…ライフイベントを前にしてモヤモヤするとはよく言われますが、実際のU29女子の頭の中はもっともっといろいろなことに不安で真剣で、向き合えたり向き合えなかったり、とても複雑なものだと思います。
そんなU29女子が直面するリアルなお悩みに、人生力豊かな尾木ママが愛あるアドバイスを贈ってくれました!
第3回目の今回は、U29女子が抱きがちな悩みについて、お答えいただきました。

 

【パターンA】

お悩み:現状を変えたい! その気持ちだけで転職は成功できる?

就職して数年が経ち、仕事にも慣れて余裕がでてきたU29女子たち。目の前の自分の仕事に精いっぱいだったところから、少しずつ周りに意識が向くようになり、他の人の仕事が楽しそうに見えたり、やりがいをもって頑張っている友人がまぶしく見えたりする瞬間が増えてきます。そうして、「私にも今よりもっといい仕事はないかしら」と考えるようになる……、いい意味で欲張りになったのかもしれません。

「今のままでいいのか」と焦り、「現状を変えたい!」という気持ちが芽生え、いつも頭の片隅に「転職」という文字がちらついている。でも、その気持ちだけで転職を成功させる自信がなくて、具体的な行動に移すことができない……。このモヤモヤから、一体どう抜け出せばよいのでしょうか?

回答:思っているだけでは現状は変わらない! まず第一歩を

これは誰もが経験することですね。
就職1、2年目は無我夢中で頑張って、3年目で自分なりに習得して、4年目ふと気づくと20代後半に。「おっと待てよ」と求人サイトを覗くと、他の職が良さそうに見える……。「30歳を過ぎてからの転職は難しくなる」、「転職するなら今かも」と思い始めるんですね。

ボク自身の話をすると、大学卒業後、まずは私立中・高校の教員をしていました。でも、4年ぐらい経つと、仕事に慣れてくる一方で、人間関係も含め、職場の弱点もいっぱい見えてくるんですね。

ちょうどその頃、同じく教員をしている妻が私立高校から公立中学に転職したんです。そして、「公立は面白いよ。あなたに向いているわ」って言うんです。

恵まれた教育環境で教師を続けることができて満足していた半面、もっと多様な子どもたちを教えたい、という欲求が高じてきていたのも事実でした。公立校の、私立よりも自由な教育実践ができる点にも魅力を感じました。もし不満があっても異動の希望も出せるし。だから妻の後に続いて、ボクも公立中学に転職してみたの。

その後も何度か異動や転職を経験しましたが、だいたい4年くらいで転機が訪れているんです。そこでの仕事にある程度慣れて、人間関係も固定化されて欠点が見えてくることも大きいかもしれませんね。

ボクのキャリアを振り返ってみると、教育に携わるという点では1つ筋が通っているけど、結構、転々としているんですよね。思いもかけず、63歳で尾木ママになりましたし(笑)。でも新しい環境で新たな気づきを得ることができたから、次へ次へと進めたんだと思います。

現状に不満を感じたら、それを変えようという気持ちは大事です。
今いる場所で主体的にやっていこう、変えていこうと思えたら、そこで頑張ればいいし、環境を変えてみることも全然アリ。ボクはそう思いますよ。

でも、そういう気持ちはもちろん大切だけど、それだけではやはり心許ない。
ならば、ある程度方向性が決まっているのであれば、やっぱり具体的に行動に出る必要があります。

その第一歩としては、志望職種が定まっていなくても、転職サイトを広く見てみるなど、職や転職についての知識を増やしたり、興味のある職についている人や先輩などの話を聞いたりと、まずは情報収集から始めてみましょう。

また、次のステップアップに必要だと感じたなら、スキルアップや資格取得を目指すのもいいですね。

 

【パターンB】

お悩み:この先のキャリアプランを立てるには何が必要?

日々の業務をこなしているだけの淡々とした毎日。慣れた環境で気楽にやれることには満足している一方、いつも何かが物足りない。

結婚も出産もはっきりいつと今は分からないし、何年後に何をしたいというイメージはあまりなく、それに「こんな仕事をしたい!」というものもないので、正直現状維持でも問題はない。でも冷静に考えると、このまま歳をとっていいのか、このまま流れに身を任せているだけではだめなのでは……?

と、漠然と不安に感じてしまうという話、共感できる人は多いのではないでしょうか。

では、一旦就職はしたものの、キャリアプランを見直したい、もしくは深掘りしていきたいと思った場合、どうすればよいのでしょうか?

回答:「書いて」自己分析をすれば、将来のビジョンは見えてくる

自己分析が十分にできていないと、こういった悩みが出てくるんじゃないかな。

新卒の就職活動の際に一度自己分析はしていると思いますが、U29世代の皆さんには、就職してからの今までの数年を一度、振り返る必要があります。

自分はこれまでどんな仕事をしてきて、どんなことが向いている、あるいは向いていないと感じているか。仕事を通じて一番充実感を得られたのはいつで、それはどんなことが実現できたからなのか。反対にどんなことで悩んできたのか、その背景として、どんなことを大事にして仕事をしてきたのか。

自分史を振り返り、徹底的に自己分析をして、自己相対化を深めてください。

そのときのポイントは、ただ漠然と考えていたり、人に話したりするだけではなく、実際に「書く」こと。

「書く」という作業がいろいろな迷いを整理してくれるんです。書いていくうちに、ああそうだったのか、自分ってこんな人間だったんだ、なるほどなー、と思えてくるはずですよ。

職業や働く場はたくさんありますから、自分がしっかり見えていないと、どんな職種や分野にアプローチすればいいか、どこにはまるかが分からないんです。この何年かの自分史を綴ってみることで、自分のキャリアプランが見えてくると思いますよ。

女性はキャリアプランを考える上で、結婚・出産・育児がどうしても制約となることがありますよね。地方出身者は就職を決める段階で、東京にするか、地元にするかでまず悩みますし。

日本ではとくに、結婚・出産・育児をハンディと捉える人も多いですが、いい生き方ができる絶好のチャンスですよ! ぜひ前向きに捉えてほしいと思います。

仕事と離れる時期があったとしても、形の上だけではなく、生き方の問題として、何を大事にするのか、どのようにして社会と接点を持つのかが大切です。

仕事は大事だけど、あくまで人生の一部。会社人間になってはいけませんね。会社で仕事に従事する一方で、自分の生き方を大切にして、いろいろな繋がりを持ちましょう。

仕事以外にも、例えば土日は地域のボランティアサークルに所属するとか、スポーツチームに参加するとかね。名刺の表は会社名や役職で、裏には地域の活動や肩書なんかが書けるような、そういう生き方ができたらいいですね。その中からまた、キャリアの幅も広がってきたりするんです。

付け加えておくと、希望の職種に就くには、この企業はこういう人材を求めているからと、それに適応しようとする姿勢も多少は必要ですが、「そうでなくてはダメ」という適応主義に陥らないように注意してくださいね。

前回もいいましたが、「ありのままに今を輝く」ことが大事です。今を輝いていれば、明日も輝けます。年を重ねることは素敵なことです。自分が大切にすることは何なのか。それを持ち続けて、自分の“こうありたい”という将来の姿を思い描いてみてください!

尾木直樹氏(尾木ママ)

尾木直樹(尾木ママ)
教育評論家。法政大学教職課程センター長・教授をこの3月に退官。臨床教育研究所「虹」所長。中学校、高校、大学で教壇に立ち、現在はその経験を生かして「尾木ママ」の愛称でテレビなどメディアで大活躍している。「尾木ママの7つの人生力」(海竜社)ほか著書多数。またブログ「オギブロ」http://ameblo.jp/oginaoki/では、日々のニュースや社会情勢に対する意見も発信し、人気を呼んでいる。

ほかの記事もチェック