U29(ユニーク) 女子プロジェクト

「勤務地選択制度」を活用し、ライフステージに合わせた働き方を実現

販売女子の働き方レポートvol.1:
「勤務地選択制度」を活用し、ライフステージに合わせた働き方を実現
ブックオフコーポレーション株式会社

新美様1

「結婚した後も、仕事を続けたい」きっかけは女性社員の一言でした

野村様「捨てない人のブックオフ」をミッションに掲げ、国内外合わせて約870店舗を構えるブックオフコーポレーション株式会社。
その幅広い販売網をカバーするため、同社の店舗で勤務する正社員の多くは転勤を経験します。

同社では創立以来、良い意味で男女が平等に機会を与えられ、社員が切磋琢磨してきたため、女性社員であっても全国転勤をしてきました。
そのため、結婚を機に退職せざるを得ない女性社員が多かったと、人財部長の野村さんは話します。

そのような状況の中、4年前にあることがきっかけで、その体制を見直すプロジェクトが発足しました。

「現在の社長が、4年前にある女性社員と話しているときに『全国転勤が必要ないまの状況で、結婚したら仕事を続けることが難しい』という意見を耳にしました。そこで、事態の改善を図るプロジェクトが動き出しました」

すぐにアンケートを取ったり、グループディスカッションを重ねて、女性社員の本音を探りにいきました。
そこで分かってきたのは、仕事が好きで、長く続けたい気持ちを持っているにもかかわらず、勤務地や労働時間などが理由で、たくさんの女性が会社を去っていってしまっている現状でした。

「『仕事は好きだから続けたいけど、現実的には難しそう』
『先輩が辞めていってしまった理由を聞くと、結婚生活と両立できないというケースが多い』
『結婚後も働いている先輩の話を聞くと、ある程度無理をしないといけない』
などの声を多く聞きました」
と野村さん。そこで挙がった声をもとに立ちあがったのが、現在同社が進めている「働きやすい職場づくりプロジェクト」。

そして、その一環として導入されたのが「勤務地選択制度」です。
これは、ある一定のグレードに達した社員を対象に、居住地から90分以内の勤務地を選択できるというもの。現在は、女性社員だけではなく、男性社員も活用しており、約1200人いる正社員中50人が活用しています。

「一部待遇面の見直しはありますが、『結婚しても仕事を続けたい』など前向きな理由でこの制度を活用する社員が多いです。これをきっかけに女性社員の定着を促進したいです」
事実、近年同社の退職者数は減少傾向にあります。
今後は受け入れる側の管理者向けにも研修を行い、理解の促進に努めたいと野村さんは話します。

「制度の導入などを経て、働く従業員の意識は変わり始めていますが、特に男性管理職の中には、全国転勤できない、フルタイム勤務が難しい、などのマイナス面に目が向きがちな人もいます。
まず管理職にあたる人が、社員一人ひとりの個性を見据えて、能力、成果を公平に評価していかないと、せっかくの制度も従業員、会社双方とも前向きに機能させていくことができないと思います。そのために、管理職に対しての研修の強化や、普段の会話の中で意識を変えていくことが今後の課題です。

また、女性社員自身にも、制度の活用をきっかけに、主体的に自分のキャリアを描いて欲しいと思っています。そのためにも、例えば女性社員同士の交流を持つ機会を作り、コミュニケーションを活発化させるなどの取り組みを行いたいと考えています」

もともと、同社では社員を“人財”と考え、育成に励んできました。多様な働き方を取り入れ、個々がそれぞれの強みを活かせる環境を整えたいと野村さんは話してくれました。

●プロフィール
ブックオフコーポレーション株式会社
人財部長 野村進一さん
2000年10月入社。企業戦略室や店舗での店長、直営店のマネージャー等を務め、人財部に。自身も育児に専念するために、一年間育休を取得した。

「キャリアプランを明確にして自分らしく、長く働き続けたいと思っています」自分の経験を若い社員に伝え、皆が順調に成長できる環境に

新美様2現在、BOOKOFF館林店で店長として勤務している新美さん。彼女は同社の「勤務地選択制度」を利用した社員のひとり。入社当初は中京統括地区に所属し、主に名古屋や鈴鹿の店舗で勤務していました。

「正直に言いますと、入社当初は将来を見据えたキャリアプランを考えていませんでした。仕事も忙しく長く勤める自信がなかったのです。そのため、結婚したら辞めるのかなと漠然と考えていました」

そんな新美さんに、入社2年目の時に転機が訪れます。
徐々に仕事にも慣れ、店舗を運営する楽しさも覚えて、楽しくなっていったそう。
特に一緒に働くアルバイトスタッフが悩みながらも、仕事を通じて成長をする姿に携われるのがうれしく、やりがいを感じるようになったそうです。

「入社1年目で最初に店長を任されたのですが、当時はまだ店長業務に慣れていなかったのに加えて、報告・連絡・相談などの社会人としての力もまだ十分でなく、頑張っているつもりが空回りしてしまっていました。
力が足りないのを残業でまかなおうとしてしまい、仕事の優先順位もつけられないまま、毎日夜遅くまで働いて時間ばかりが過ぎていってしまいました。
当然、仕事の成果も上がりません。

そんな状況だったのですが、少しずつ頑張るべき部分と優先順位を下げてもよい部分の見極めや、周りの人との密なコミュニケーションをとることを心がけることにより、仕事が前に進むようになったのです。
そんな自分だからこそ伝えられるものがあると思うので、入社2年目以降は、その経験を自分の周りの後輩に伝え、彼、彼女たちが無駄なく成長に必要な努力を着実に重ねていってほしいと感じるようになりました」

と新美さん。それと同時に、今の職場で長く続けたいという思いがだんだんと強くなっていったと話してくれました。そうして徐々に自分のキャリアを考えだしたとき、今の夫となる彼と結婚の話があがりました。

「当時、彼は栃木県に住んでいて、結婚するとなると私が栃木県に引っ越さなければなりませんでした。でも、仕事は辞めたくなくて。
そんなとき、勤務地選択制度のことを知りました。
当時のエリアマネージャーにいろいろと相談にも乗ってもらい、この制度を活用することを決めました。結婚しても会社に役立てるのがうれしかったです」

館林店で働くようになり1年。
不安だった仕事と家庭との両立も、だんだんとバランスをとれるようになりました。
そんな新美さんは現在、ある目標を持っているといいます。

「勤務地選択制度を活用して新しい場所で仕事を続けて、初めて自分の将来の姿や後輩の育成に対する思いが明確になりました。
長く働き続けることで、仕事の幅や自分の可能性をもっと広げていきたいです。

勤務地選択制度を利用するときは少し勇気が必要でしたが、思い切って一歩踏み出して本当によかったと思います。
『働き方って自分で変えていけるんだ』、ということを実感しました。
今後も、自分から意見出しをしたり、やりたい仕事を提案していきたいです」
そう、力強く宣言してくれました。

●プロフィール
ブックオフコーポレーション株式会社
BOOKOFF館林店 店長 新美友里恵さん
2012年新卒入社。名古屋滝ノ水店、鈴鹿白子店などを経て現店舗に。入社1年目から店長として勤務。

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