女性にとって働きやすい職場かどうか見極めるポイント

2015年12月25日

転職先が女性にとって働きやすい職場かどうかは、転職を希望する女性にとって気になるポイントですが、応募要項や会社のWebサイトなどを見ただけではなかなかわからないもの。そこで数々の企業を見てきたキャリアコンサルタントの藤井佐和子さんに、女性にとって働きやすい会社を見極めるポイントについて伺います。

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女性にとって働きやすい職場とは?

「女性にとって働きやすい職場」と聞くと、一般的には「出産や子育てをしっかりサポートしてくれる会社」といった制度や手当など福利厚生に関するポイントばかりを気にしがち。もちろん福利厚生も大切ではありますが、藤井さんによるとそのほかにも以下のような特徴が挙げられるそうです。

「女性は、人間関係、職場環境など、働く環境面が自分に合っていたり、安心できる職場ですと、能力を存分に発揮できる方も多いようです。円滑なコミュニケーションが取れる社内の雰囲気であることや、社員同士が直接顔を合わせて気軽に話し合える環境であることが望ましいでしょう。また、自分の経験を買ってくれ、それが発揮できる環境かどうかも重要なポイントです」

さらに藤井さんによると、女性は仕事や顧客に対し感情移入をしやすい傾向にあり、数字的な指標に比べ、「相手が喜んでくれたかどうか」といった感覚的な指標の方が、より仕事にやりがいを感じられる方も多いそうです。

求人票やホームページでチェックするポイント

では、上記のような条件を踏まえ、転職したい会社が女性にとって働きやすい職場であるかどうかを見極めるには、どんな点に注目すれば良いのでしょうか。まずは、求人票などでチェックするポイントを伺いました。

その1:「くるみんマーク」や「ワークライフバランス認定企業」の表記があるか
「子育てサポート企業として、厚生労働大臣の認定を受けた企業のみが表示できる『くるみんマーク』や、地域の「ワークライフバランス認定企業」に選定されているなどの表記は、福利厚生が整っており、女性の働きやすい環境づくりに取り組んでいる企業にしか付与されません。そのため、働きやすい職場を見極める上で、ひとつのものさしになると思います。

その2:男女比や社員の年代もチェック

男女比や社員の年代などもポイントのひとつ。男女比がどの割合であれば、どの年代が多いのであれば働きやすいのかは人それぞれなので、例えば今後出産や結婚をしても働き続けたいという方なら、『女性が多く、理解が得られそうな職場のほうがいいのかな?』といった具合に、自分にとって働きやすい職場なのかを見極めてみましょう」

面接でチェックするポイント

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面接では、どんな点に注目すれば働きやすい職場かを見極められるのでしょうか。

その1:自分の経験を活かせるか、育児支援制度は整っているかを上手く聞き出す
自分の経験を活かせる会社かどうかは、働きやすさを見極める上で、とても重要なポイントです。求人票を見ただけでは判断がつかない部分なので、面接のときにチェックしておくといいでしょう。
ただ、素直に『私の経験を活かせますか?』と聞くのはNG。自分が不安に思うことをそのまま伝えると、会社は『うちの会社に対して、不信感を抱いているのでは?』と感じてしまう可能性もあります。そのため、『私は、こういう経験を活かしたい、こういう風に貢献したいと思っているのですが可能でしょうか?』というように、意欲を伝えた上で質問してみましょう。

育児休暇などの制度について質問するときは、特に注意が必要です。出産を経験する可能性が高い20代後半の女性の採用は、企業も慎重になるもの。この場合も、『具体的な予定があるわけではないのですが、今後出産することがあれば、その後もがんばって働き続けたいと考えています。出産後も働き続けている方はいらっしゃいますか?』と、意欲を伝えた上で、両立できる環境なのかを聞くのがポイントです」

その2:声かけや挨拶がきちんとできているかをチェック
「『お疲れ様』『ありがとう』など、ちょっとした声がけができている会社は安心して働ける、という女性の意見も多いです。朝の出社時や帰社時の挨拶も同様。面接など会社へ訪問する際には、受付で待っている時に声がけや会釈があるかどうかなどもチェックポイントです」

オフィス見学や一緒に働く先輩社員との面談でチェックするポイント

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オフィス見学や先輩社員との面談の場を設けてもらった場合は、どんな点に注目すればよいのでしょうか。

その1:残業の程度をさりげなく質問する/目で確かめる
「実際の社内の雰囲気を確かめるには、オフィス見学や社員との面談の場を設けてもらうといいでしょう。『1日のスケジュールをお伺いしても良いですか?』『繁忙期はありますか?通常と比べて、どのくらい忙しいものですか?』というように、残業の程度や休日出勤の有無をさりげなく確認しましょう。また、オフィス見学や面談は、自分の仕事が終わった夕方以降に行く場合が多いので、終業前や残業中の社内の雰囲気は、ピリピリしていないだろうか、イキイキと働いているだろうかなど、目で確かめるのがよいでしょう」

オフィス見学や面談を希望するとき、また、先輩社員への質問の仕方においても、間違えてしまうとネガティブな印象を与えてしまう恐れがあると藤井さんは言います。
そのため、面接の時に急にオフィス見学や先輩社員との面会を申し出るのではなく、事前に「社員の方々がどのように働いていらっしゃるのか職場の雰囲気を見てみたいので、差し支えなければオフィスを見学することは可能ですか?」「社員の方にお話をお伺いすることはできますか?」と連絡しておくといった配慮が必要かもしれません。面談においても「残業の程度」や「休日出勤の有無」を無理に聞き出そうとはせず、参考程度にと考えておいたほうがいいかもしれませんね。

その2:情報共有やコミュニケーションが十分に行われているかをチェック
「会社や上司に対する不満の声としてよく聞かれるのが、『情報共有してもらえない』という意見。情報共有が問題なく行われているかを確認するには、『わからないことは何でも聞いてください』というようなオープンな雰囲気があることや、社員同士のコミュニケーションが十分に行われている様子をチェックし、判断するとよいでしょう」

その3:社内の内装や設備もチェック
「働きやすい会社かを見極めるには、社内の内装や設備をチェックすることも重要です。隣席との距離感は適切か、書類や私物がデスクに散在していないか、オフィスやトイレは清潔かなど、自分がそのオフィスで働いていることをイメージして、チェックしてみましょう」

まとめ

「女性にとって働きやすい職場」とは、福利厚生だけではなく職場の環境や雰囲気、社風が大切なポイントとなるようです。特に面接時やオフィス見学は自分自身をアピールするだけではなく、相手の会社をよく知ることができるチャンスの場でもあるのですね。良い転職となるよう、みなさんも参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

(プロフィール)
藤井 佐和子(ふじい さわこ)
株式会社キャリエーラ代表。大学卒業後、カメラメーカー海外営業部のOL経験を経て、大手総合人材サービス企業にて、派遣事業部、人材紹介事業部の立上げに携わる。主に女性を対象とした転職支援チームを立上げ、数多くの転職を支援。その後、独立。延べ13,000人以上のキャリアカウンセリングを行う一方、数多くの企業に対し、研修やスキーム作りなど人材育成支援を行う。その他、大学の非常勤講師、講演、キャリアセミナー、執筆など幅広く活動。