[子育てママの再就職] 家事を手伝わない夫の対策法
結婚・出産したら仕事はどうする? 働き女子が将来を考えるときに、誰もが一度は思うこの問題。先輩ママたちはどうしたのか、出産後の再就職支援を手がける「ハナマル総合研究所」代表の上田晶美さんに、リアルストーリーを聞きました。
【上の子の小学校入学を機に、パートで再就職】
田中こずえさん(37歳/仮名)
短大卒業後、専門商社の経理を9年経験し、出産退職。30歳で第1子を、32歳で第2子を出産。上の子どもの小学校入学を機に再就職を決心し、食品工場での週3日のパート勤務をスタートした。子どもは小学1年生と5歳。
今は週3日のパート勤務。いずれは正社員になりたい
田中さんは、出産前は経理の経験を長く積まれた方。再就職でも、経理を希望されていました。いずれはフルタイムで働きたいと考えていましたが、お子さんが小学1年生と5歳とまだ小さいため、週3日程度の勤務を希望。近所の食品工場にパートの経理スタッフとして再就職されました。
私の再就職講座に来られたのは、働き始めて一年1年が経つ頃のこと。次の目標として、正社員を目指そうと決心しての受講でした。そこで相談を受けたのが、「夫が家事・育児に協力的でない」という悩みです。
焦らず、働き方を徐々に広げる「クレッシェンド計画」
週3日の勤務とはいえ、7年間育児に専念してきた田中さんには大きな生活の変化。仕事を終えて帰ると、くたくただといいます。でも、夫は見て見ぬふり。「このままでは、正社員なんて無理」と、仕事と家事・育児の両立に限界を感じていたのです。
辛い状況ですが、1つよかったのは、週3日でも仕事を始めたことで、生活の変化を実感できたこと。私は音楽用語を引用して「クレッシェンド(※)計画」と呼んでいますが、できる範囲での勤務形態から始め、長期的な展望で仕事の量や質、収入を広げていくことが、無理のない再就職のコツ。大切なのは、焦らないということです。
※音楽の強弱記号。「だんだん強く」の意。
田中さんの例でいえば、いきなりフルタイムで復帰して、今の問題にぶつかったらそれこそ大変。週3日のパートのうちにわかってよかったと前向きに捉えて、具体的策を考えることが解決につながります。
夫とは「数字で交渉」がコツ
夫との家事・育児分担に話を戻せば、夫の収入には遠く及ばなくても、妻の働きは認められるべき。仮に夫の年収が600万円、妻が配偶者控除の範囲内の103万円だったとすると、妻は世帯収入703万円の7分の1を助けていることになるのです。
であれば、夫は家事・育児の7分の1を担当してしかるべき。わかりやすく、週7日のうち1日と考えてもいいでしょう。「何か手伝ってよ」では、話しは平行線のまま。例えば「土曜日はパパの家事の日」にするなど、男性との交渉は数字をベースに、具体案を示すことがコツです。
そのうえで、長期的な視点での夫との話し合いも必要です。なぜ正社員を目指すのか、子どもの教育費などの家計のことや、田中さん自身の思いを伝え、夫が比較的得意なこと(または苦手でないこと)から担当してもらうなど、少しずつ2人の分担を決めていけるといいですね。
1.無理の少ない働き方から始める「クレッシェンド計画」
2.夫との交渉は「数字をもとに具体的に」がコツ
3.夫とは「小競り合い」より「話し合い」。気持ちをきちんと伝える
■プロフィール
上田晶美
ハナマルキャリア総合研究所 代表
キャリアコンサルタント歴20年のベテラン。10年間の大手流通会社での人事経験と、3児の母として子育てをしながら仕事をしてきたノウハウをもとに、結婚・出産後の再就職を積極的に支援。女性のキャリアについて年間200講演を行う。『ママも今日から働くワ! 主婦の再就職講座』、新刊『働くための話す・聞く』をはじめ著書多数。
http://hanamaru-souken.com/